日本でもプロのアーティストユーザーが増えつつあるDAW『Studio One』。この記事では最新のバージョン4 プロフェッショナルの海外メディア評価や自分の使用感をお伝えします。現在ご検討中の方の参考になれば幸いです。
Contents
海外メディアのレビュー・評価内容
海外メディアでは主にこんな評価でした。
- 新しいアイデアを作り手にもたらしてくれる
- バージョンアップによって、ミックス作業者だけでなくクリエイターが使いやすいソフトになった
- 「コードトラック」はミュージシャンの夢を実現した機能
こんな方にお勧めのDTMソフトです。
- 作曲からミキシングまで行うDTMer
- 新しいアイデアを効率的に生み出したいクリエイター
- DTM初心者の方(安い・負荷が低い・一般的なDAWと似てる)
使ってみた感想
ひとことでいうならば、ストレスが少なく、アイデアが湧きやすいDAWといったところ。とにかくスムーズで使いやすいし、未体験のDTM体験ができるので使っててワクワクします。
良いと感じた点
- 動作がとても軽い
- MIDI、オーディオファイルからコード検出できるコードトラックがヤバい
- 超柔軟なパターンエディターの打ち込みは効率的でストレスゼロ
Ableton Liveとの比較
自分が過去に使用経験のあるDAW『Abeton Live』と『Studio One』をユーザー投票数などで比較したサイトがありました。『Studio One』の方がお勧めという結果のようですね。
『Studio One』は、すべてのコンポーネントが理解可能な方法で配置されており、すべての作業がドラッグアンドドロップで行える
引用:https://www.slant.co/versus/6424/6433/~ableton-live_vs_studio-one-4
ここは自分も同意です。Liveよりも理解しやすく使いやすく感じています。何よりも安いうえに負荷が少ないのがとても最高です。
『Studio One』とは
『Studio One』は、ドラッグアンドドロップで全て作業できるなど、ワークフローをできる限りシンプルにすることを目的として開発されたDAWです。打ち込み、レコーディング、ミキシング、マスタリング全てが行えるうえ、動画ファイルもサポートしています。
もうひとつのキーワードは「シームレス」。プラグイン同志の連携、プロジェクトファイル同士の連携、そして他DAWとの連携などがスムーズにいくように設計されている点も高い評価を得ている背景にあります。この後説明する各機能にも「シームレス」という概念がお分かりいただけると思います。
『Studio One』の独自機能
ここからは自分の使用感も交えつつ、『Studio One』の持つ独自機能も紹介していきます。
コードトラック
『コードトラック』は、MIDIデータだけでなくオーディオデータからもコード検出をしてくれる機能。本当に驚きました…。この機能は、『Studio One 4 Professional』を他のDAWよりも独創的で魅力的な価値を与えている要因の一つです。
使い方は簡単で、アレンジビューとタイムラインの間に表示されたコードトラック専用のビューに、アレンジビューに表示させたMIDIやオーディオファイルをそこにドラッグするだけ。すると、ファイルのコード進行・展開に従ったコードが認識されます。めちゃくちゃ簡単!
コード情報を表示するだけならば、他のDAWなどでも行えますが、『Studio One』は、認識させたコードに既存ファイルを従わせることもできてしまいます。MIDIだけでなくオーディオファイルも変化させられます。
主な使い方
- コードがわからないオーディオファイルやMIDIファイルの確認
- MIDIファイルのコード展開の効率化
- 制作中の楽曲の別の可能性を探る際の手掛かりにする
ただし、オーディオトラックのコード変換はあまり期待しすぎないほうが良いです。あくまで大まかなアイデアを試すためのツールとしてとらえましょう。これ『Studio One』のマニュアルにも記載されています。
「コードトラックは非常に強力なツールですが、ある程度の人工的な加工を施さないとオーディオをピッチシフトできないという制限があります。コードトラックによって曲の実験やプロトタイプを完了させたら、新しいコード進行に合わせてオーディオを再録音しましょう。」
実際、ビートがないオーディオトラックを認識させた場合、コード認識の場所にズレが生じましたし、和音の数が少ない場合も正しく認識されるとは限りませんでした。
そして、コード変換はオーディオファイルをピッチ変換することになります。極端な変換を行うと明らかにヘンテコな響きになってしまいます。
コード検出・認識・返還はあくまでアイデアを生み出す際の参考情報とし、それをもとに録音し直しましょう。
また、本当にコードトラックを使いこなす場合は、コード理論をある程度身に付ける必要もありそうです。むしろコード理論を勉強する良い機会になるかもなと思ってます!
パターンエディター
二つ目の大きな特徴は、ステップシーケンサー型の打ち込みが可能なパターンエディター。Roland 808や909、DTMではFL STUDIO的なシーケンス打ち込みへの切り替えができるようになりました。これもかなり便利!
特徴は、各トラックそれぞれに、小節と拍など異なる値を設定してループさせることができます。つまりキックドラムは8拍で2小節ループ、スネアは4拍で1小節ループ、ハイハットは16拍で4小節ループ…といった感じです。
これを応用すればポリリズムも簡単に作れますし、基本のリズムパターンの応用も簡単に生成してくれます。めちゃくちゃ効率的。
独自パラメータ『リピート』『ランダム率』『ディレイ』とは
MIDI打ち込みの代表的なパラメータといえばベロシティ。これは音の強弱を数値で一音ごとに設定できる機能ですね。『Studio One』は、そうした一般的なものに加えて独自のパラメータが存在します。
まず『リピート』パラメータ。記載したノートにピアノロールのような連打機能を与えられるもの。最大10まで設定できます。たとえば既に作り上げたリズムパターンに設定することで新しいパターンを作り出せたりします。
さらにおもしろいのが『ランダム率』パラメータ。記載したノートが再生される確率を1~100の値で設定できます。これにより、より人間的なリズムパターンのバリエーションが生まれ、予想外の強弱や展開を勝手につくることができるというもの。
そしてバージョン4.6からは『ディレイ』パラメータの設定も可能になりました。これはエフェクターのディレイではなく、そのノートが鳴るタイミングをパーセンテージで早めたり遅らせたりできるものです。いわゆるJ Dillaのようなモタついたビートを再現する際に役立ちそうですね。
これらのパラメータは、メロディなどにも使えます。なのでパターンモードでメロディを作って、適当に一部のノートにランダム率を設定すれば、勝手に音符の抜き差しが行われるので、自分が意図しない別パターンのメロディの生成が行えたりできちゃいます。
テクノロジーを用いるメリットは効率化。アイデア出しもこうやってどんどん効率化されていってるんですね。
史上初!Melodyneのピッチ補正をソフト内で実行できる!

『Studio One 4 Professional』にはMelodyne Essensialが付属されています。『Studio One』の画面上でMelodyneを開いて使うことが可能です。
Melodyneとは、オーディオ加工・修正ソフトです。プロの現場でもボーカルの音符別のピッチ修正・変更のために用いられていますね。
また、タイムストレッチやメロディの再編集もできるため、リードボーカルの素材をもとにバッキングボーカルバージョンを作るなど、かなり多くの用途でも用いられています。
ハービー・ハンコック、ビョーク、コールドプレイ、ピーター・ガブリエルといったポップス界の大御所たちだけでなく、クラシック音楽界でも用いられるほど重要なソフトです。
『Studio One』では、Melodyneでピッチ補正したたオーディオデータの処理が、タイムライン上にもすぐさま反映されるので、超効率的に作業が行えます。別々ではなく、同一ソフトウェア上でシームレスにこのやりとりが行えるのもかなり魅力ですね。
Presonusが掲げる「フロー型」モデルという哲学がここでも体感できます。
CPU負荷が低い
まだ使い始めて間もないですが、これは自分でも体感しているところ。
海外メディアでは以下のような感想が載っていました。
68個のオーディオトラック(一部ステレオ、一部モノラルの合計84個のオーディオストリーム)、75個のプラグイン、16個のバスを含むプロジェクトの場合、Windowsタスクマネージャーでは、 1コアあたり平均10%のCPU使用率を示し、8つのコア全てでバランスが取れていた。テストしたPCのスペックは、3.5 GHz Intel i7-4770k CPUと16 GB RAMを搭載したPC Audio Labs Windows 7マシンだ。
https://www.gearslutz.com/board/reviews/1222308-presonus-studio-one-4-professional.html
ノートPCで作業する自分にとって、このCPU負荷が低い点はかなり大事な検討ポイントでした。
シームレスに使えるサンプリング再生・編集ソフト
波形編集に特化したSample One、ビートパターン打ち込み用のImpact XT、鍵盤型のサンプラーPresence XT。それぞれの機能もアップデートしつつ、お互いをシームレスに行き来できる点もかなり評価が高いです。
まだ自分はそこまで使い込んでいないので、追記できたらと思います。
ただ、ざっくり触っただけでも、Impact XTのドラッグアンドドロップによるサンプル素材のインポートを想定したつくりはとてもストレスレスで良い感じでした◎
統合型のマスタリングモード
『Studio One』のマスタリングは、プロジェクト単位で作業が行えます。つまり2mixにレンダリングしたファイルを並べて作業をしつつ、元のミックスを直したければ、その画面上ですぐにパラデータにもアクセスできてしまいます。
DAWが登場して以来、それまで分裂していたレコーディング、ダビング、編集といった作業が統合されるようになり、『Studio One』によって、マスタリング作業も遂に統合された とも評されていました。
この機能は自分はまだ未経験なので使用感も追記します。
リップル編集モード
バージョン4の目玉と評するメディアも見かけたのがこの「リップル編集」。タイムラインでオーディオファイルの切り貼りをした際、隣に位置するオーディオファイルが自動で移動して、オーディオファイル間の隙間を勝手に埋めてくれるというもの。
かなりシンプルな機能で、未使用の自分にはピンときませんが、音楽制作よりもポッドキャストなどのナレーションやインタビュー編集にはかなり重宝される機能のようですね。たしかに、無数に切り刻んで隙間を詰めなければいけないナレーションはこういったものがあったほうが良いのかもしれないですね。
AAFファイルのインポートとエクスポート
AAFファイルのインポート、エクスポートに対応。AAFファイルとは様々なソフトウェアにまたがって開くことのできるファイルの規格です。つまりたとえばPro Toolsなど他のDAWのファイルを『Studio One』にインポートすることができます。
Pro Toolsの他に、どのDAWがOKでどれがNGかという詳細は、調べたのですがなかなかまとまった情報はありませんでした。インポートできる環境が用意されていても、取り込むためのAAFファイルのエクスポートができないものあるようで。各ソフトウェアの今後のアップデート情報を要チェックというところですね。
おまけ:海外メディアの評価
最後に実際の海外メディアの評価も記載しておきますね。
結論
MIDI作曲ツールが必要な場合は、Impact XTやPatternsなどのサンプリングソフト、そしてコードトラック機能に十分なパワーがある。AAF対応、ソングデータのインポート対応、ARA2対応によるメロダインとのシームレスな連携などの優れたワークフローツールが必要な場合は、是非購入しよう。『Studio One』の競合はPro ToolsとLogic Pro Xだ。
『Studio One』には、10点中8点を与えたい。https://www.pro-tools-expert.com/video-reviews/2018/6/12/studio-one-4-review
長所
・コードトラックはワークフローに完全に適合する
・Patternsでの打ち込みは汎用性が高くとても楽しい
・サンプラーとしても活用できる
・AAFインポート/エクスポートへの対応短所
・オーディオファイルにコードトラックを適用すると音がかなり変化する
・パターンには独自のライブラリが必要
・マルチタッチ(タッチパッド)はまだスムーズとはいえない概要
Studio One 4は、エンジニアよりもクリエイターを対象としたソフトウェアだ。『Studio One』は、創造性をもたらし、より探求する場所へと導いてくれる。バージョン3はおそらくミキシング、プロダクション、アレンジ、オーディオ処理に関するものだったが、バージョン4はプロデューサー、ソングライター、DTMer、クリエイターが音楽を作るための多くのツールを提供するものだ。
https://www.soundonsound.com/reviews/presonus-studio-one-4
結論
非常に多くの強力な機能を備えているため、5点満点中5点を与えたい。
Studio One 4は、シーケンサー、ドラムエディター、Impact、Sample Oneの改善だけでもアップグレードコストに見合うの価値があるうえに、コードトラック機能はStudio One Professionalを新しいレベルのクリエイティブな能力に変えた。
PreSonusは、間違いなく究極のミュージシャンのDAWを生み出した。長所:
・コードトラック/エディターは驚くべき機能で、ソングライター/アレンジャーの夢といえる。・『Studio One』のすべてのビューにまたがる優れたユーザーインターフェイス。チャンネルノートのような非常に便利なタッチ、ナビゲーションを支援する色の適切な使用、テキストの読みやすさの改善など。
・以前のバージョンからのアップグレードは非常にリーズナブルな価格で、新規ユーザーにもリーズナブル。
短所:
・詳細なオーディオ波形エディターが欠けている。しかしこれは深刻な問題ではなく、波形編集を必要とせずに『Studio One』を使用して大部分のプロジェクトを記録、編集、ミックス、マスターできる。・『Studio One』は非常に複雑で包括的なツールため、習得するまでに時間がかかるともいえる。しかし、それは今日のすべてのハイエンドDAWに当てはまる。
https://www.gearslutz.com/board/reviews/1222308-presonus-studio-one-4-professional.html
まとめ
Studio One 4 Professicional について海外評価を踏まえ、自分の使用感も交えてご紹介しました。
海外メディアでは主にこんな評価でした。
- 新しいアイデアを作り手にもたらしてくれる
- バージョンアップによって、ミックス作業者だけでなくクリエイターが使いやすいソフトになった
- 「コードトラック」はミュージシャンの夢を実現した機能
こんな方にお勧めのDTMソフトです。
- 作曲からミキシングまで行うDTMer
- 新しいアイデアを効率的に生み出したいクリエイター
- DTM初心者の方(安い・負荷が低い・一般的なDAWと似てる)
Studio Oneを使ってDTM制作をして得た収入についても下記にまとめています。まだまだお小遣い稼ぎレベルですが。
音楽制作・DTMに使用しているノートパソコンは、マウスコンピューターのDAIVです。
音楽制作・DTM用ノートパソコンの比較記事はこちらから。
まだ購入したばかりなので、オーディオ編集やインストゥルメント・MIDIをサクっと触った程度ですが、「これをこんな簡単にできるの?」というストレスゼロな感じや、コードトラック機能の優秀さに驚かされている最中です。
現在ご検討中の方のご参考になれば幸いです。